進研ゼミ小学講座に登場する赤いランドセルの妖精・コラショを知っていますか?小学1年生から3年生までの教材に出てきます。
しかし、コラショは小学4年生の教材からいきなり姿を消します。
小学校入学時からずっと見てきたキャラクターだっただけに、急に消えてさみしく思う子供たちも多いと聞きます。なぜ消えてしまったのかまとめてみました。
目次
コラショが消えた理由
コラショはランドセルの妖精で、子供たちが自主的に学習をすることが出来るように応援してくれる存在です。うさぎのような耳は、ランドセルの肩ベルトです。
「だいじょうぶ、だいじょうぶ」の口癖で、子供たちに安心感を与え、常に励ましてくれます。好きな食べ物はシュークリーム。
この可愛らしいコラショというキャラクターは、実は進研ゼミの小学1年生から3年生までの間にしか登場せず、小学4年生になった途端に教材からコラショは消えてしまいます。
そのため、4年生に進学した子供が「コラショが消えた?」と感じてしまうことがあるようです。コラショ自体はずっと消えることなく、小学1~3年生の教材で活躍し続けています。
コラショが小学4年生を境に消えてしまう理由はいくつかあります。
自主学習の土台を作るための言葉かけが目的だったから
そもそもコラショは、初めて勉強に取り組むことになった小学生低学年の子供たちが、自主的に学習をする習慣をつけたり、学習することの土台作りのために作られたキャラクターでした。
小学1~3年生の頃に保護者が適切な声がけをすることで、子供は安心して学習をする意欲を持つことができ、その後の成績が良くなるというベネッセ独自の研究結果に従って、コラショが誕生したのだそうです。
小学1~3年生の間に活用することが元々コラショを誕生させた役割だったので、消えたというより、小学3年生が終わり、役割を果たし終わっただけです。
発達段階に合わせて変化させるため
役割が終わったとしても、可愛いし寂しいから小学4年生以降も進研ゼミの教材に出て来てくれればいいのに…と感じる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、進研ゼミの教材は子供たちの成長を考えて最適なものを提供するように考え抜かれています。
実際にはもちろんコラショは架空の実在しないキャラクターです。
「だいじょうぶ、だいじょうぶ」と常に優しい言葉を投げかけてくれるばかりでは、子供たちの自主性も育ちません。
消えた理由③自分の力で学び続けるため卒業する必要
現実の世界では、勉強を教えてくれるのは生身の人間です。
ある程度の学習への慣れが出てきた高学年では、発達段階に合わせて提供するものも変えていかなければならず、いつまでもやさしいコラショに頼り続けるわけにはいきません。
こういった理由から小学3年生が終わったら、コラショから卒業してもらって、小学4年生以降は実在する先生がモデルになったキャラクターで学習を続けていきます。
コラショが消えたといわれてしまう理由
コラショが消えたと言われてしまう理由は、小学4年生に進級した途端に、教材から突然コラショがいなくなるからです。
実際には、コラショ自体はずっと消えていません。
その理由は、上記で説明してきた通りで元々小学1~3年生までの勉強のお供として作られたキャラクターだったからです。
子供たちにとっては、小学校に入学した頃からずっといたコラショがいきなりいなくなってしまい、少し寂しい思いを感じる子もいるかもしれません。
突然いなくなった!とショックを感じてしまい、「コラショが消えてしまった」と思ってしまうのでしょう。
コラショが消えた後は進研ゼミはどうなるの
小学4年生からは、各教科ごとに実在する先生がモデルとなったキャラクターが教材に登場します。
科目 | 小4 | 小5 | 小6 |
---|---|---|---|
国語 | ジュンぺー | ダイちゃん | こやっち |
算数 | はなっち | さーや | あいちゃん |
理科 | かおるん | なっち | よっしー |
社会 | なおさん | ゆうさん | はやしゅー |
英語 | ピロシタニコ | テリー | ミキ |
その他 | 編集長 トム ウッシー みう まいまい | 編集長 くがっち ケンタ みさき きたパタ | 編集長 おいちゃん タケル たじー |
科目ごとに分かれて、随分と登場キャラクターも大勢になりましたね。
架空のキャラクターを使っていた小学3年生までとは違って、現実世界により寄せた形で、教材が作られるようになります。
コラショが与えた社会への影響
一部では、コラショの存在は社会へある影響を与えていると指摘もされています。
参考: https://note.com/takashikishimoto/n/n574ed6c43a23
目に見えぬジェンダー規則の可視化
主人公の「井上きずな」くん(通称キッズくん)は、男の子です。しかし、キッズくんはおじいさんから赤いランドセル(=コラショ)をプレゼントされています。
赤いランドセルについては、「げんきの赤、やる気のヒーローの赤」とアニメ中に説明があり、キッズくん自身も「赤かっこいい!」と乗り気で背負っています。
しかし、少し前までは「男子小学生は黒いランドセル、女子小学生は赤いランドセル」でほぼ例外なく、着用する色が性別で分かれていませんでしたか?
現時点で社会人をしている大人が小学生だった頃、なんだかんだでクラスの中は「男子は黒、女子は赤」で綺麗に分かれていたかと思います。
クラスの中に1~2人くらい、ピンクや茶色のランドセルを使っている子がたまにいるという具合で、枠から外れたカラーのランドセルを使っていると目立っていました。
しかし、女の子が赤から外れてピンクのランドセルを使っていたり、男の子が青のランドセルを使っていることまではあっても、「女の子が黒のランドセル、男の子が赤のランドセル」を使っているパターンを見かけたことは皆無だったように思います。
アニメの中では主人公の男子小学生キッズくんが赤いランドセルを背負っており、「男の子が赤いランドセルを使っている」という違和感から、暗黙のジェンダー規則に気づかされた人が多かったようです。
「あれ、なんで男の子なのに赤いランドセルなんだろう?」の疑問から、「いや、別に男の子が赤いランドセル使っててもいいのか」と思い直し、「男の子が黒、女の子が赤と何となく決まっている空気感は何なのだろう」と知らず知らずのうちに自分に染みついていた、性別による固定観念に気づかされた人もいたようです。
ランドセルの色の多様化
現在では、ランドセルのカラーは非常に多様化しています。誰が何色を使っても変な空気にならないように、社会の風潮も変化しました。
当時は変わり種カラーだったピンクも今では当たり前のカラーですし、その他キャメルやラベンダーパープル、グリーン、オレンジなど様々な種類のランドセルカラーが登場しています。
ランドセルを制作している土屋鞄製作所の調査(2022年度)によると、赤と黒を選んだ顧客は全体の24%だったそうです。
残りの76%は定番の赤黒以外のカラーを選択しています。
もはや赤と黒は定番というわけでもなく、たくさんあるカラーの内の一つの色にすぎないと捉えられているように感じます。
登校している小学生のランドセルを見ても、非常にカラフルになっています。赤と黒以外のランドセルも、普通の選択肢として受け入れられていることが分かります。
こういった選択が当たり前になった背景には、全国の世間の小学生の大半が通る道だった進研ゼミの中で、「男の子が赤いランドセルを使っている」様子が当たり前のように描かれていたことが、少なからず関係していると考えています。
性別による固定観念を壊していくにあたり、コラショが一役買っていたのだと思います。